「学びのワークショップ」レポート 「ワインと温暖化」 (1回目)

10月30日、コロナ感染拡大で延期していた「学びのワークショップ」の一つ、「ワインと温暖化」の講座が「すわっチャオ」(上諏訪駅前)で無事開催されました。茅野市・蓼科高原にあるレストラン「エスポワール」のシニアソムリエの野村秀也さんがファシリテーターとして会の進行役を務めました。ゲストに東京からクルティエの竹下正樹さんに参加いただきました。  ※クルティエとは、ワインの鑑定人、コンサルタント

竹下正樹さん、野村秀也さん

 このワークショップの目的は地球温暖化が進行している中でぶどうの栽培地にも大きな変化が見られるようになり、ここ八ヶ岳山麓の海抜1000~1200mあたりも栽培適地になりつつあり、ぶどう栽培の可能性を話し合ってみようということでこれから進めていきます。この地域で先駆的にぶどう栽培を始める人も少しずつ増えてきています。原村では「ワイン特区」に認定されて今後の展開が期待されます。このテーマを通じて気候変動や土壌などの環境の重要性にも触れていきます。長野県が「ワインツーリズム」の構想を掲げています。諏訪地方での動きはまだありませんが生徒の皆さんがその可能性について、今後、調査、発表をしていくことも期待しています。
 ファシリテーターの野村さんからはワインの歴史、醸造法などの基本的な説明がありました。続いてぶどう栽培について どんな場所が適地なのか気温、日照時間、水分などの点から説明があり、今後、ここ八ヶ岳山麓の高冷地にも大いに可能性があることを知りました。また、茅野市は世界ソムリエ協会会長小飼一至さんの出身地であることも紹介がありました。
 パリに会社を持ち、フランス全土のワイナリーをめぐっている竹下さんからはフランスのワインづくりの現状のお話がありました。名産地のボルドーでも温暖化の影響を大きく受けて今年は大変厳しい年であり、今後も油断はできないとの報告がありました。ブドウ栽培農家はその土地の景観を守ることも仕事につながっていることを聞きました。その土地の「風土」「景観」を維持していくことに果たす農業の役割が大切である、というヒントをもらったように思います。 ぶどうは「百年草」とも言われているほど長い年月をかけて素晴らしい品質に育っていきます。このワークショップを通じて現在の中学生や高校生がぶどう栽培をはじめとした農業の可能性やそれを中心にした地域づくりのことを考えて欲しいと期待が高まります。それが地域の環境保全、持続性のある自然との共生にもつながっていくことを知ることにもなります。